キャプティブ設立数増加傾向の背景
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キャプティブ関連ニュース
新聞報道によると、コロナ禍において新たなキャプティブ設立の動きが活発になり、実際に設立数が急増しています。保険ブローカー世界最大手のマーシュが2020年1月から7月の間に設立を支援した新しいキャプティブの数は、昨年同期と比べて実に3倍に上るとのことです。
キャプティブ設立数が急増している背景は、保険市場のハード化にあるとされています。保険市場のハード化とは、保険料が上がり保険会社の引受けキャパシティが縮小する状況を指しますが、これは歴史的に、米国での同時多発テロのような危機が発生した後や、2004年に強大なハリケーンがメキシコ湾で発生し大災害をもたらした際にこのような動きがみられました。
企業としては、オープンマーケットすなわち民間の保険会社から適切な価格で補償を確保できない場合(つまり保険市場がハード化した場合)、そもそも保険を付けないで事業を継続することは現実的ではないため、代替策としてキャプティブを設立し、リスクを移転することになります。そうすることにより、ある程度グループ内でリスク保有しつつも、リスクを全体的に管理することが可能になります。
このことは、保険市場がハード化する局面でなくてもキャプティブを活用することができることも、併せて示唆しています。つまり、保険会社が引受に積極的ではない今回のパンデミックや、サイバー、日本においては企業物件の地震等のリスクを、キャプティブである程度リスク保有をすることによってカバーすることが可能になります。
また、新興企業にとってもキャプティブはリスクマネジメントのための相性が良いビジネスとなります。具体的には、配車サービスのウーバー・テクノロジーやリフト、あるいは暗号資産取引所を運営する会社もキャプティブを設立しました。これは、一般の民間保険会社は、これらの新しい企業の保険を引き受けるための十分な情報を持ち合わせていないために、適正な水準の保険料の設定をしづらいことに起因しています。
今後、キャプティブを活用したリスクマネジメントが一段と広がっていくことが期待できます。
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