気候変動に伴う自然災害とリスクファイナンスの必要性
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災害リスク
わが国では年々、豪雨の被害が深刻になっています。2020年7月、熊本県で発生した豪雨も甚大な被害をもたらしています。
ここ数年の大雨をもたらしている要因として地球温暖化との関連が疑われます。2017年、2018年と九州地方や西日本に大雨をもたらしましたが、それらは積乱雲が帯状に連なる線状降水帯が原因ともいわれ、線状降水帯は年々発生しやすい状態になっているとも言われています。
報道によると、世界ではさらに多くの被害が起きているようです。2016年には中国で洪水によって310人以上の死者と140億ドル以上の経済損失、2017年にはインドやバングラディシュ、ネパールで豪雨によって1200人以上の死者、2018年にインドで起きた豪雨では43億ドル以上の経済損失が発生するなど、気候変動を原因とするとみられる豪雨や洪水により、世界各地でも甚大な被害をもたらしています。
英国フィナンシャル・タイムズは、世界の中央銀行などの集まりである「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)」はこのような状況を踏まえ、新型コロナウィルス問題の陰に隠れがちな気候変動リスクにも注意が必要だという警告を発したことを報じています。このように、気候変動リスクは金融活動、ひいては事業活動にまつわるリスクに対してひっ迫した影響を与えてきており、それに資金面で備えるというリスクファイナンスの必要性を突き付けています。
実際、主要国の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、金融機関や企業に対して気候変動が経営に与える影響についての開示を促し、世界で1250社・機関、日本では270社・機関が賛同を表明しております。
これに対応し一部の大手損害保険会社では、気候変動が企業に与えるリスクに関してたとえば「A地点の工場では洪水で30年までに3メートル以上の浸水が発生する」などと予測し、損害リスクを「建物で5億円、機械で5千万円」などという形で試算するサービスを開始しています。
このように、気候変動が企業に与えるリスクに対して、できる限りの明確な試算と情報開示、そしてリスクファイナンスが求められるようになってきており、早急な対策が必要です。
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