ロイズ保険組合
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キャプティブの仕組み
2020年7月22の新聞報道によると、大手損害保険会社が世界最大級の保険市場である英国のロイズ保険組合から撤退することを決めました。ロイズは保険業界ではよく聞く名前ですが、保険組合という名称の通り、単体の保険会社ではないうえに大きな案件、特殊な保険を引き受けるため、一般生活者には馴染みがありません。しかしながら、300年以上続く歴史と世界最大級の市場であるがゆえ、保険業界ではその存在感は際立っています。
ロイズの起源は300年以上前のコーヒーハウスでの保険取引に遡ります。そこでは貿易商、船長、船主などが情報交換の場所として交流し、次第にそのコーヒーハウスで資本家から海上保険を引き受けてもらうようになりました。それ以来ロイズは300年以上かけ、海上保険を中心とするマーケットから、損害保険全般を引き受ける巨大なマーケットへと成長してきました。
ロイズは、英国にてロイズの運営を規定するロイズ法に基づいて運営され、保険を引き受けるアンダーライターと、契約の取り次ぎ等を担うブローカー等で成り立っています。また、ロイズに持ち込まれる案件のほとんどは、複数の保険会社で構成されるシンジケートによって引き受けられます。このようなシンジケートは90以上あると言われています。
日本においては特殊法人であるロイズ・ジャパン株式会社が英国ロイズ保険組合の総代理店として、日本国内の案件の引受け(元受けや再保険の引受け)を行っています。
このような形をとることによって、ロイズは特殊な保険、大型な保険を引き受けることが可能になります。昨今自然災害が相次ぐ中、保険会社はことさらそのリスクを分散させる必要があり、本質的にはロイズのような再保険の引き受け先が必要なのです。
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