ロイズの都市リスク指標レポート
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災害リスク
世界最大級の保険市場である英国のロイズ保険組合が世界に向けて発信しているレポートの1つに「ロイズ都市リスク指標レポート」があります。
これは世界の300を超える主要都市が今後一定期間で、特定のカテゴリの人為的災害・自然的災害の脅威にさらされるリスク量を指標化しランキングにたもので、非常に興味深い示唆がなされています。
都市リスク指標のランキングを見ていきます。
驚くことに、全世界の主要都市の中で最もリスクが高い都市とされたのが、東京でした。リスクの高い順にランキング見ていくと次のようになります。
1位 東京
2位 ニューヨーク
3位 マニラ
4位 台北
5位 イスタンブール
6位 大阪
7位 ロサンゼルス
8位 上海
9位 ロンドン
10位 バグダッド
しかも、リスク指標の数値では2位のニューヨークの1.8倍の差で、群を抜いてリスクが高い都市という判定を受けたことになります。しかもよく見ると、6位には大阪もランクインしており、日本の主要都市は全世界を見渡してもリスクの水準が高いとされていることが判ります。
グローバルランキングで1位の東京が抱える脅威を、リスクの高い順に掘り下げてみます。
1. 国家間紛争
2. 台風
3. 洪水
4. 地震
5. 市場の暴落
1位の国家間紛争は、隣国との関係が念頭に置かれていると思われます。この国家間紛争と市場の暴落という2つの脅威については、いち企業のみの備えでは対応できない部分かと思います。一方で、台風、洪水、地震は、ここ数年はいたるところで多くの損害を与えており、改めて我々が備えるべきリスクであることを示しています。
東京で企業活動をする時は、世界一リスクが高い都市で企業活動をしているという認識を持っていた方が良いかもしれません。
なお、このレポートでは、グローバルで保険普及率が1%上昇するだけで無保険損失が13%減少、結果として災害発生後の納税者負担が22%減少することを指摘しており、さらには、1%の保険普及率の上昇によってもたらされる投資の増加はGDPの2%に相当すると指摘しています。このレポートでは、保険によって起こりうるリスクに備えることは、全体でみればプラスに働き、めぐりめぐって自分自身にも恩恵を受けることを示唆しています。
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