事例研究:テルモが米国ハワイ州にキャプティブ設立①
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事例
医療機器製造・販売の上場会社であるテルモは2020年2月4日に投資家向けに、米国ハワイ州にキャプティブを設立し、最大180億円の資本金の払い込みを予定していると発表しました。米国ハワイ州では同年2月25日にライセンスが付与されています。
米国ハワイ州はキャプティブを設立・運営するための環境が整備されており、日本の企業にとっても親和性が高く、ここ数年の保険市場のハード化も相まって設立数が伸びています。馴染みのある会社名だけでも、NTT、NTTドコモ、パナソニック、オリンパスといった企業がハワイでキャプティブを設立しています。
テルモがハワイ州に設立したキャプティブであるTerumo Global Reinsurance Inc.は、グローバルに事業を展開するグループ全体のリスクマネジメントを担っており、またこれにより、日本においてはキャプティブを通じて再保険マーケットにアクセスすることで地震保険を手当てすることができました。
テルモの祖業は体温計の国産化から始まり、注射針、カテーテルといった医療器具の製造に順次拡大、現在では世界160か国以上の国・地域で事業を展開し、売上の3分の2を海外が占めるようになっています。
このように海外で事業を展開する会社にとって課題になるのが、リスク管理の最適化の問題です。グローバル化による事業拡大に伴い生産や販売に注力する一方で、リスクマネジメントの優先度はどうしても低くなりがちで、また、保険の手配は現地法人、現地の担当者がそれぞれの方針や考え方で対応することになり、グループ全体でみると非効率あるいはいびつなカバーとなってしまいます。
これをトップダウンで日本の本社が主導する形での、グローバルリスクマネジメントが必要になってきます。次回の記事では、テルモがキャプティブ設立・運営に至る具体的な取り組みにブレイクダウンしていきます。
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