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ラブアンで設立された日本企業のキャプティブは?

公開日: : 事例, 基礎知識

以前の記事でも触れたように、マレーシア領ラブアンはキャプティブの誘致を積極的に推進しています。実際、キャプティブを設立する日本企業がじわじわと増えているようです。

キャプティブのドミサイルとしては新興市場ですので歴史の長いバミューダ等と比べるとまだまだ件数は少ないです。また、日本企業に人気のドミサイルであるハワイと比べても同様に、件数は劣ります。しかしながら、アンチ・マネーロンダリングに関わる規制などを整備しながらも、金融特区としての利便性や柔軟性のバランスをとる取り組みが功を奏し、また、日本からのアクセスも容易なことから、着実にドミサイルとしての人気を獲得しつつあります。

具体的には何社が、そしてどのような企業がキャプティブを設立したか調べてみました。まずはラブアンキャプティブの全体像を把握してみます。

ラブアンIBFC(国際ビジネス金融センター)によると、ラブアンにおけるキャプティブを含む保険業界の現状は、次のようになっています(2019年現在)。

  • キャプティブ 52社
  • 再保険会社 64社
  • 保険ブローカー 80社
  • キャプティブマネージャー 23社

上記のうち、日本企業が設立したと思われるキャプティブは、16社~20社ほどある模様です。キャプティブの名称が日本の親会社と類似していたり、親会社の名称の一部を使っていたりすれば推測しやすいですが、そうでないケースも多いため、正確な数字は把握しきれないのが現状です。

このように、キャプティブにまつわる情報は開示されていないことが多いため推測になりますが、いくつかの日本企業の例をもとに、どのようにキャプティブを活用しているか考えてみます。

BODY WORK INSURANCE CO., LTD

日本では株式会社ボディワークホールディングスがグループの中心となり、リフレクソロジーやボディケアのサロンなどを展開しています。自前のサロンに加え、温浴施設への出店や温浴施設自体の運営、健康器具の販売やレンタル等、リラクゼーションや健康関連の事業を幅広く展開しています。
多くの客に施術を行うとともに、従業員の人数も多くなることから、施設賠償責任保険や労災の上乗せ補償等のニーズがあります。

DL Balance Co., Ltd.

大和ハウスグループの一員である大和リビングマネジメント株式会社が運営している模様です。主に賃貸住宅およびマンションの管理・運営会社として60万戸近くの物件を管理しており、また、サブリース事業を展開しています。
火災保険、家財保険、あるいは住宅設備に係る延長保証に関するリスクをキャプティブで保有することが考えられます。

Watanabe Reinsurance Labuan Corporation

水まわりの住環境設備や水道関連の土木に関する資材や商材を幅広く取り扱う渡辺パイプ株式会社が運営するキャプティブです。同社は未上場ながらグループ企業が多く、グループ全体の年商は3,000億円、従業員数も5,000人を超える企業体です。
国内には幅広く営業所や物流センターを展開している一方で海外拠点は積極的に行っていない様子なので、リスクとしては国内における請負や生産物等の賠責、労災の上乗せ補償が考えられます。
大企業ですので、保険を効率的にマネジメントして、キャプティブによってある程度のリスクを保有するというのはきわめて合理的な選択になります。
同社のような企業がラブアンキャプティブの設立を進めることによって、ドミサイルとしてのラブアンの認知度が高まり、より使い勝手の良いインフラ整備につながることを期待します。

 

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    • 事業保険アドバイザー:渡辺隆史
      <経歴>
      野村證券で4年、国内損害保険会社で10年勤務。 その後2020年5月から弊社事業保険アドバイザーとして勤務。

      <趣味>
      読書、映画鑑賞、ジョギング

      <出身地>
      東京都江東区

      <自己紹介>
      国内の金融機関を経て、海外の再保険(キャプティブ)知り、この職に就きました。世界最大の自然災害リスクを抱える日本の企業に事業リスク対策保険(損害保険、傷害保険、地震保険、災害保険、賠償責任保険など)を海外のキャプティブを使うことで加入することをアドバイスしています。生保マン、税理士、経営&財務コンサルタントの提携パートナー募集中。

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