パンデミックに備えて保険を掛けていた「ウィンブルドン」
猛威を振るう新型コロナウイルス。2020年東京オリンピックを筆頭に世界中で様々なイベントが中止に追い込まれました。
ウィンブルドンテニス選手権も例外ではありませんでした。ウィンブルドンは2020年6月29日から7月12日まで開催予定でしたが、4月初めに中止の決定をしました。
グランドスラムの中で最も長い歴史を持つウィンブルドンは、今年の大会で134回目となる予定だったものの、1945年以来初の中止となりました。過去に中止となったのは、世界大戦期間のみ(1915~1918、1940~1945)とのことです。今回のコロナ禍は世界大戦に匹敵するインパクトと考えると、経済に与える影響は甚大なものと推測されます。
報道によると、ウィンブルドンの主催者を構成する団体「英国ローンテニス協会(LTA)は、パンデミック(世界的大流行)が起こった場合の保険に加入し、17年間にわたって毎年およそ200万ドルの保険料を支払っていたのだそうです。きっかけは2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行したときに遡るとのこと。
これによりウィンブルドンの主催者は、保険会社から1億4100万ドル(約150億円)の保険金を受け取ります。もし開催されていたらチケットや放映権料、スポンサーとの契約金など約3億1000万ドル(約330億円)の収益が予想されていましたが、この収益の約半分を保険金でまかなうことができるようです。これは毎年200万ドルもの保険料を払ってきた甲斐があったものです。
事業へのリスクに備える保険の本質は、可能性は小さいもののひとたび起こると極めて大きな経済的損失を被ることが予想されるケースに備える、ということから考えると、ウィンブルドンは典型的な「保険を掛けていてよかった」事例といえます。
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