自然災害と事業リスク対策
わが国は世界有数の自然災害大国です。またここ数年の傾向として、統計上極めてまれにしか発生しないとされる自然災害が数多く発生しています。
例えば、2018年は地震や豪雨といった自然災害が多発し、実に14にのぼる道府県で災害救助法が適用されました。
中小企業庁によると、9月の北海道胆振東部地震では地震による停電で全道に影響がおよび、中小企業の被害額は42億円とされました。
同年7月の西日本豪雨による中小企業の被害額は4,738億円とされ、続く8月~9月の台風19号、20号、21号でも99億円の被害が報告されました。
このような自然災害により、様々な業種で企業は深刻な被害をうけました。具体例としては次のようなものがあります。
自動車部品製造業
- 地震により生産設備の一部が損傷を被った。
- 設備修理のために設備メーカーに連絡をしたが、順番待ちとなり直ぐに修理ができない状態が続き、事業再開までに時間を要してしまった。
金属加工業
- 豪雨の影響で工場内に大量の土砂や流木が流入した。
- 被災後、給与が支払えず、従業員全員を解雇。新たに数億円の借り入れをして事業再開を目指すも、事業縮小は避けられない状況に追い込まれた。
運輸業
- 倉庫で預かっていた商品がすべて水没した。
- 火災保険は加入していたものの、水害は想定していなかったために保険未加入の状態だったことが判明。結果として取引先への補償トラブルに発展。
このように、1回の災害で事業継続に致命的なダメージを与えることになるリスクに対して、多くの企業はBCP(事業継続計画、Business Continuity Plan)を十分整備しているとはいえず、また、リスクファイナンスに関しては必要性を感じているにもかかわらず対策を施していないという現状があります。
リスクファイナンスの代表的な例としては保険・共済の加入があげられますが、これらも十分な加入状況とは言えないようです。リスクファイナンスとして中小企業が保険・共済に加入しない理由としては「災害に遭わないと思っていた」とする経営者が多い一方で、「比較検討できる情報がない」といった、単純に情報が不足しているという現状も浮き彫りにされています。
言い換えれば、自然災害に関する事業リスク対策をコンサルティングする場合、適切な情報と、適切なリスクファイナンスの手段を提供できることが大切になります。
パートナー募集中
弊社K2 Partnersは海外の保険、積立を顧客へ提案するパートナーを募集しています。主に保険代理店、FP、不動産コンサルタント、税理士など何かしらの資格と専門性を持ったプロフェッショナルだけが登録できるようになっています。ノルマ、費用など一切ありません。
関連記事
-
保険会社のための保険、再保険のメリットを確認しましょう。
キャプティブを組み入れた事業リスク対策に取り組む場合、再保険マーケットに直接アクセスをすることが可能
-
地震リスクについて改めて考えてみましょう(2)
地震リスクについて改めて考えてみましょう(1)〜地震発生の形態〜 政府の地震調査委員会は2021年3
-
サステナビリティ経営と事業リスク開示
社会の持続可能性に配慮した経営(サステナビリティ経営)への関心が高まる中で、投資家や消費者まで、様々
-
事業中断リスクへの備え(1)
企業は、火災や爆発などの事故、地震や風水害などの自然災害、大規模なシステム障害などが発生すると事業が
-
ロイズの都市リスク指標レポート
世界最大級の保険市場である英国のロイズ保険組合が世界に向けて発信しているレポートの1つに「ロイズ都市
-
事業リスク開示し、具体的に対策を講じていたソニーの事例
事業リスク開示にまつわる事例として興味深い、ソニーの事例をご紹介します。2016年4月に発生した熊本
-
事業中断リスクへの備え(2)
事業中断は、様々な事由によって発生します。それは、直接的な事由と間接的な事由に分かれます。ここでは製
-
保険マーケットのハード化が長期化し、キャプティブマーケットに対する関心が高まっています。
今回は海外再保険マーケットに関する業界紙からの情報を、コンパクトにまとめてシェアします。保険市場では
-
地震リスクについて改めて考えてみましょう(1)〜地震発生の形態〜
2021年2月13日23時7分、福島県沖で最大震度6強(マグニチュード7.3)の地震が発生しました。
-
地震リスクについて改めて考えてみましょう(4)〜地震の防災対策〜
これまで、地震のリスクや地震による被害について理解を深めてきましたが、最後に、地震の防災対策について
- PREV
- 事業リスク対策保険のブログを始めます。
- NEXT
- サステナビリティ経営と事業リスク開示