K2 Partners 事業リスク対策保険

保険会社の再保険取引を理解するための基礎知識(2)

公開日: : キャプティブの仕組み, 基礎知識

前回は再保険を契約手続きの違いから、任意再保険と特約再保険に分類し、その特徴や実務面の違いを比較しました。今回は、責任分担あるいはリスク保有の方法の違いによる分類について比較します。

割合再保険(比例再保険、プロポーショナル再保険)

割合再保険は、通常出再者と再保険者が、一定の割合で運命を分かち合う再保険の契約形態です。

出再者は、出再対象となる個々の元受保険契約から生じる元受保険料の一定割合を出再再保険料の割合に応じて再保険者に支払います。元受損害保険契約で損害が発生した場合、あらかじめ取り決めた出再保険料の割合に応じて、元受保険損害の一部を再保険金として回収します。

割合再保険の中でも細かくは複数の特約がありますが、基本的には支払保険料と保有リスクは合意した比率で分配されるためシンプルであり、特約再保険において多く活用され、生命再保険は大部分が割合再保険です。

非割合再保険(非比例再保険、ノン・プロポーショナル再保険)

非割合再保険は、特定の閾値(リスク保有額)を超える損害について、再保険者にそのリスクを移転します。出再者に生じた損害額が、出再者・再保険者の間で結ばれた再保険特約条件で定められた一定の金額(これを発動点、エクセス・ポイントと言います)を超えた場合、あらかじめ定められた支払限度額の範囲内で再保険金が支払われます。

非割合再保険にもいくつか種類がありますが、代表的なものとして超過損害額再保険特約(エクセス・ロス・カバー、ELC)があります。また、単一の損害(1事故あたり)に対する契約、大規模災害のような事象単位に対する契約、一定期間におけるポートフォリオ全体を対象とする契約を使い分け、あるいはそれらを組み合わせてリスクを管理していきます。

非割合再保険は、リスクを管理・分散する上では極めて強力な手段になります。それは上記に示す通り、保有するリスクの上限を定め、それを上回るリスクを再保険者に移転できるからにほかなりません。例えば、高額な賠償責任や大規模な洪水等、ひとたび事象が発生した場合のインパクトが大きなリスクに対して、それを分散することが可能になります。したがって、非割合再保険の組成は保有する(保有可能な)リスクのターゲットに合わせて、テーラーメイドで高度な設計を行うことができる保険手段となります。

非割合再保険の再保険料は、出再者と再保険者との間で交渉され合意されます。再保険の取引関係はプロ同士の取引であることを前提としており、そのため、一般的な金融商品の購入のような消費者保護の観点からの当局による取引の監督は適用されません。キャプティブが再保険マーケットからカバーを調達する場合も同様、プロとして再保険会社と交渉をするため、その場合は通常再保険ブローカーを通じて仲介取引をすることになります。

再保険マーケットはその時々の時勢に応じハード化・ソフト化を繰り返し、その結果として、獲得できるカバーの金額、受け入れるべき免責や特約等が変動します。再保険ブローカーは、これらの情勢を見ながらリスク評価、条件の設定、特約、保険料等の交渉を進めます。

キャプティブを活用してリスクマネジメントを考える場合、上記のように、テーラーメイドでリスクマネジメントの設計をし、希望するカバーを適切な保険料で獲得するためにプロのマーケット参加者として再保険マーケットにて交渉しそれを獲得するという非常に個別性の強いプロセスを経ることになります。

 

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  • 事業保険アドバイザー:渡辺隆史
    <経歴>
    野村證券で4年、国内損害保険会社で10年勤務。 その後2020年5月から弊社事業保険アドバイザーとして勤務。

    <趣味>
    読書、映画鑑賞、ジョギング

    <出身地>
    東京都江東区

    <自己紹介>
    国内の金融機関を経て、海外の再保険(キャプティブ)知り、この職に就きました。世界最大の自然災害リスクを抱える日本の企業に事業リスク対策保険(損害保険、傷害保険、地震保険、災害保険、賠償責任保険など)を海外のキャプティブを使うことで加入することをアドバイスしています。生保マン、税理士、経営&財務コンサルタントの提携パートナー募集中。

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