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保険市場のハード化 4つの現象

公開日: : 最終更新日:2020/12/08 キャプティブの仕組み

以前の記事で、現在保険市場がハード化していることと、それに伴いキャプティブ設立数が急増していることに触れました。保険市場のハード化とは、保険料が上がり保険会社の引受けキャパシティが縮小する状況を指しますが、これは歴史的に、米国での同時多発テロのような危機が発生した後や、2004年に強大なハリケーンがメキシコ湾で発生し大災害をもたらした際にこのような動きがみられました。

再保険マーケットはその需給バランスによって、引き受けの諸条件が再保険を掛ける側である出再者にとって有利となる「ソフト・マーケット」と、再保険を引き受ける側である再保険者にとって有利となる「ハード・マーケット」の状況が一定のサイクルで繰り返され、アンダーライティング・サイクルと呼ばれています。

この保険市場のハード化は具体的に4つの現象として現れます。これらは全てリスクを移転・回避したい主体である被保険者にとってはネガティブに働き、一般的には保険契約の更改のタイミングで対策を迫られます。

1. キャパシティの縮小
保険マーケットが悪化する過程において、保険者や再保険者はそれぞれがリスク引受のキャパシティを引き下げる動きを見せます。引受ける側にとっては、保険事故が無ければその分収益を享受できるためキャパシティの拡大を求めますが、保険事故が多くなることは収益の悪化に直結するため、その巻き戻しとしてキャパシティを引き下げに走ります。結果としてマーケット全体のキャパシティの縮小につながっていきます。

2. 保険料率の上昇
キャパシティが縮小するということは、カバーを必要とするプレイヤーたちの間での奪い合いになります。その結果として保険料率の上昇につながっていきます。特に再保険料率については、超過再保険等のノンプロポーショナル再保険においては出再者と受再者との交渉により決まり個別性が強くなります。その影響もあり、売り手側が強くなり結果として再保険料ひいてはマーケット全体の保険料率の上昇につながります。

3. 免責の引き上げ
また保険者は、免責額を引き上げる形で被保険者に対して負担を求めます。免責額を引き上げることにより、保険者・再保険者に移転するリスクが減少します。結果として、保険市場がハード化する前に比べて、より多くのリスクを被保険者にて保有することになります。

4. ワーディング(再保険特約書)の変化
保険市場がハード化する環境下において再保険マーケットでは、補償範囲をより狭くしたり補償条件をより厳しくしたりする等の対応がとられます。再保険取引においては、取引に係る個々の条件について個別に合意し、その内容を再保険特約書の中に記載していくのですが、この内容が被保険者にとって不利な条件になることを意味します。


このように、保険市場のハード化する環境下においては、リスクの引き受け手である再保険マーケットがリスク保有を避ける方向に動くため、補償を求める被保険者側にとっては、自社でのリスクマネジメントがより重要になり、リスクの一部を自家保有するキャプティブを活用する動きが活発になります。

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    • 事業保険アドバイザー:渡辺隆史
      <経歴>
      野村證券で4年、国内損害保険会社で10年勤務。 その後2020年5月から弊社事業保険アドバイザーとして勤務。

      <趣味>
      読書、映画鑑賞、ジョギング

      <出身地>
      東京都江東区

      <自己紹介>
      国内の金融機関を経て、海外の再保険(キャプティブ)知り、この職に就きました。世界最大の自然災害リスクを抱える日本の企業に事業リスク対策保険(損害保険、傷害保険、地震保険、災害保険、賠償責任保険など)を海外のキャプティブを使うことで加入することをアドバイスしています。生保マン、税理士、経営&財務コンサルタントの提携パートナー募集中。

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