事業中断リスクへの備え(2)
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事業リスク
事業中断は、様々な事由によって発生します。それは、直接的な事由と間接的な事由に分かれます。ここでは製造業を例にして整理を試みます。
直接的な事由としては、火災・爆発・落雷・風水害や地震等による建物や設備の損壊、電気的・機械的事故による電気機器・機械の損壊等の直接損失に伴って発生する場合、コンピューターシステムのダウン、大きな賠償事故の発生、製品のリコール、労災事故の発生、食中毒の発生を原因とした業務停止命令等の行政処分等があります。
間接的な事由としては、自社に災害や事故が発生していなくても、原材料や部品の供給元が罹災し、供給元からの納入が途絶えた場合、電力・ガス・水道・の供給停止、物流の途絶等が考えられます。この場合も自社での生産活動を中断せざるを得ないため、結果として事業中断による休業損失が発生します。
これらの発生事由による事業中断リスクに対しては、リスク要因別に生産活動への影響度や復旧期間を予測し、影響度が高いリスク要因に対して優先的にリスク対策を講じていく必要があります。
具体的には、まずボトルネックとなる重要な生産設備については代替設備を常備したり、異なる場所、複数の工場で生産したりといったリスク分散は基本的な取り組みとなります。また、自社の生産ラインが途絶した場合に備えて、事前に外部の代替生産先を確保しておくことによって、取引先に対する製品の供給を継続することができるためこれも重要なリスク対策となります。
また、複数の供給元の確保も重要です。そして、在庫の確保や、原材料・部品のストックがあれば、一定期間の生産・販売活動を継続することができます。しかしながら原材料・部品、在庫の確保は経営効率化の観点からは望ましくなく、それらは最小限に抑えようとするインセンティブが働きます。このトレードオフの関係があるため、一般的には例えば入手困難な原材料・特殊な部品といったものを優先してストックするような対策を講じます。
それでもなお発生し得る事業中断による休業損失に対して保険に備える際、想定し得る休業損失額の算出をして、これを元に休業損失リスクのカバーを得ます。休業損失は、損益計算書から一定のみなし計算によって算出できます。
【具体例】
上記のような製造業の場合の休業損失額を算出します。
1. 先ず、経常費と営業利益を算出し、これを合計します。
④+⑥+⑧+⑩=48億円
2. 次に、上記金額の売上高に対する割合(利益率)を算出します。
この企業の利益率は、48億円÷120億円×100=40% となります。
3. 上記を元に、想定される売上減少額に利益率を乗じることで、休業損失額を算出します。
このケースで例えば売上高が20億円減少した場合、
20億円×40%=8億円が、休業損失となります。
このようにして算出した休業損失額を保険金額として補償を調達します。
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