地震リスクについて改めて考えてみましょう(1)〜地震発生の形態〜
2021年2月13日23時7分、福島県沖で最大震度6強(マグニチュード7.3)の地震が発生しました。これは2011年3月に発生した東日本大震災の余震と見られています。被災された地域の方々にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧を願うばかりです。
わが国は世界有数の地震国であり、日本のどの地域でも大地震が発生する可能性を持っています。また、地震はその発生を制御することはできず、いつ、どこで発生するかを予測することが困難です。したがって地震防災対策は、地震発生時や発生後の被害をいかに抑えるかが中心となります。
ここでは一度、地震発生の形態の観点から、地震への理解を深めてみます。
日本列島は、地球表面を覆う「プレート」が4つぶつかり合う地域にあり、これらが多発する地震の原因になっています。すなわち、海側プレートである「太平洋プレート」と「フィリピン海プレート」、陸側プレートである「ユーラシアプレート」と「北米プレート」があります。これらプレートの運動によって蓄積されたエネルギーが解放されたとき、地震が発生します。
地震はその発生形態によって、プレート境界型地震、内陸直下型地震、プレート内部型地震の3つに大きく分かれます。
1.プレート境界型地震(海溝型地震)
日本列島付近では、海側プレートが陸側のプレートの下に沈み込むように運動します。この運動により、海側プレートに接する陸側プレートの先端が、沈み込む海側プレートに引きずり込まれる形になります。この陸側プレートの先端部分の歪みが限界に達した時、先端部分が跳ね上がり、その結果地震が発生します。
プレート境界型地震は主に海域で発生します。地震規模が大きく広域に被害を及ぼし、さらには津波を発生させる特性があります。また、この運動がプレート境界付近で繰り返されるため、プレート境界型地震は一定の周期で発生すると言われています。
代表的なプレート境界型地震は、2011年の東日本大震災、1923年の関東大震災など、甚大な被害をもたらした地震があります。
2.内陸直下型地震
陸側プレートに蓄積された歪みによるエネルギーが、陸側プレート内部の表面近くの断層で解放されることがあります。この断層のことを活断層と呼び、これにより発生する地震を内陸直下型地震といいます。
内陸直下型地震は発生周期が長いとされていますが、日本には無数の活断層が存在し、さらには未確認の活断層もあるため、いつ、どこで内陸直下型地震が発生するかの予想が極めて困難です。また、内陸直下型地震はプレート境界型地震に比べると規模は小さいのですが、局地的に激震を起こします。都市直下の浅い所を震源とする場合には大きな被害をもたらします。
代表的な内陸直下型地震は、1995年の阪神・淡路大震災、2004年の新潟中越地震等があります。
3.プレート内部型地震
陸側プレートの下に沈み込んだ海側プレートの内部で破壊が起きた際に発生する地震が、プレート内部型地震と呼ばれます。海側プレートは陸側プレートの下に潜り込む形になるため、内陸で地震が発生した場合は震源の場所が深く、内陸直下型地震と比べると被害が小さくなる傾向があります。一方、海域で発生する場合は津波を発生させることが多くなります。
代表的なプレート内部型地震は、1993年の北海道南西沖地震や、1994年の北海道東方沖地震等があります。
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